山荘の建具
奥深い山林の中にひっそりと佇むRC造平屋の建物の外壁に開口を設け、森の緩やかな斜面と向き合う、水平な連続窓を設けた。窓越しに、うっそうと茂る草木の景色が広がる。室内から見ると、大地は右下へなだらかに傾斜している。窓は南側に面するので、右側からは、丁度穏やかな午後の、傾いた日射しが、木陰と共に入り込む。
水平連続窓のフレーミングの中に、そのような傾斜のついた景色が広がる。
窓枠は、その傾斜に合わせるように、ほんの少しかしげる。方立や上枠の断面は斜めに削られ、その削られた面は光を受け、残った面は陰となる。斜めに見える方立の側面は、外光を受けて明るくなり、その先に見える景色に馴染む。一方で、鋭角な角をもった下枠は、陰となることで景色との境界に強いコントラストを生む。
そのようにして、窓枠が、室内から見える景色に方向性を与え、その部屋の佇まいにさえ、傾きをあたえる。
施主:rewrite_U
撮影: SSA